日本版ミュージカル『モーツァルト!』(新演出版)詳しい内容と全曲

日本版ミュージカル『モーツァルト!』の詳しいあらすじと全曲紹介です。ネタバレ含みます。基本情報や韓国版(2020年)の詳しい内容をご覧になりたい方は、下記をご参考願います。

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第1幕

プロローグ

1809年11月18日 ウィーン/聖マルクス墓地

モーツァルトがなぜ天才なのか、科学的解明のためモーツァルトの頭蓋骨を調べたいドクトル・メスマーは、モーツァルトの妻だったコンスタンツェに案内料を払い頭蓋骨を発掘しようとする。

「マダム・モーツァルト」と呼ばれ、「ニッセン。今の私はモーツァルトではなくニッセン」と答えるコンスタンツェ。

コンスタンツェに案内されたドクトル・メスマーは「(モーツァルトは)星のように地球に落ちてきた」「神が遣わした子供ーヴォルフガング・アマデウス」と叫ぶ。

すると時が代わり、ウィーン宮廷で演奏するヴォルフガングの姿が現れる。

MEMO
場所は、モーツァルトが葬られたザンクト・マルクスの共同墓地。正確な埋葬位置は不明。

コンスタンツェはモーツァルト死後ゲオルク・ニコラウス・ニッセンと再婚。彼はモーツァルトの熱烈ファンで、最初にモーツァルトの伝記を書いた人物です。

奇跡の子

1768年5月 ウィーン/メスマー邸

少年モーツァルト(ヴォルフガング)は、ウィーンのドクトル・メスマー邸で、父レオポルトと姉ナンネールが見守る中、貴族に演奏を披露している。

父レオポルトは我が子がいかに才能に恵まれているか紹介。目隠しをした息子に演奏もさせる。貴族たちもヴォルフガングを「神の申し子」「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト!※」と称える。

しかし父はヴォルフガングがもうじきただの大人になってしまうかもしれないと懸念。このまま子供でいてくれたなら…

疲れをみせる弟に気付く姉のナンネール。

レオポルトは口にする。「私の子は天才だ。天才は感じやすい」

息子のために、この才能にと、貴族たちから感謝と報酬として金銭を集める。

レオポルト、客たち 
MEMO
曲タイトルの「♪奇跡の子」は、ウィーンオリジナル版の「♪Was fuer ein Kind!(=なんという子だ!)」と同意味ですが、使用メロディーはウィーン版と異なります。日本版は2幕ラスト「♪モーツァルト!モーツァルト!」のメロディーがここで使われています。ちなみに韓国版(2020)の使用メロディ―はウィーンオリジナル版と同じでした。


※アマデウスは、ラテン語で「神に愛される」の意味。ヴォルフガングの洗礼名ヨハネス・クリュソストムス・ヴォルフガングス・テオフィルス・モーツァルトの「テオフィルス」がギリシャ語で「神に愛される」を意味し、ヴォルフガング自身がアマデオ、アマデと使うことを好みました。


♪ピアノ・ソナタへ長調(KV280)

人は忘れる

レオポルトはヴォルフガングが小さな箱を抱えているのを目にする。

「それは、その子のものよ」「生まれた時からアマデのものです」ヴァルトシュテッテン男爵夫人が言う。

「あなたの息子は天才よ」と伝える男爵夫人に、「私が作り出し磨き上げた」と答えるレオポルト。

レオポルトが小箱を渡すようヴォルフガングに伝えると、ダメだという男爵夫人。

そして「あなたが持っているのは黄金よりもまばゆく、光よりも崇高なもの」とヴォルフガングに言い聞かせる。

「人は忘れる。時が流れて残るものは 目に見えないものだけ」

「水に流されず耐え忍べれば、神様に愛され、光を放つ」

レオポルト、ヴァルトシュテッテン男爵夫人、客たち 

赤いコート

1777年 ザルツブルク/タンツマイスターハウス(モーツァルトの家)

9年後のザルツブルク。青年になったヴォルフガングはザルツブルクで音楽活動をしている。

伴にいるのは彼の才能「アマデ」。

マリア・テレジアからもらった赤いコートは古くなり、以降は地味な衣装を着ていたが、再び貴族のみ許された赤いコートを着る。

ヴォルフガングをみて「あなたはプリンス」と喜ぶ姉ナンネール。

「また演奏旅行へいこう」はしゃぐヴォルフガング。

彼はザルツブルクのコロレド大司教に媚びる毎日に嫌気がさし、子供時代のように広い世界に演奏旅行に行きたい。

しかし父レオポルトは「貴族だけが許されたそのコートを脱げ」、「大司教のために曲を書け」と命じる。

レオポルトが育てた、かつての神童の姿はない。

自由を求めるヴォルフガングに、大司教のご機嫌に逆らっては生きていけない、お前の生きる道は私が決める、とヴォルフガングの言い分を認めない父。

ヴォルフガング、ナンネール、レオポルト 

僕こそ音楽(ミュージック)

なぜパパは僕のことをわかってくれないのか?

苛立つヴォルフガングにペンを差し出し作曲を促すアマデ。

そしてヴォルフガングは歌う。

僕こそ音楽を生み出す存在…

光と影
メジャーとマイナー
フォルテにピアノ

・・・全てを音楽にのせ語ろう

無礼で礼儀知らずだけど、そのままの僕を愛して欲しい

「僕こそ音楽(ミュージック)」だ。

ヴォルフガング
MEMO
このナンバーは、1777年11月にヴォルフガングが父に充てた次の手紙から引用しているのではないか?と思います。

「僕は詩的なものは書けません。詩人ではありませんから。僕は表現を巧みに描き分けて影や光を生み出すことは出来ません。画家ではないですから。身振りで感情や考えをあらわすこともできません。踊り手ではないですから。でも音でならそれが出来ます。音楽家ですから。」

何処だ、モーツァルト!

ザルツブルク/大司教レジデンツ(居城)の大広間

領主コロレド大司教のもとへ自作の曲を持参するヴォルフガング。

「天国の調べです。猊下でも聴いたことのない」
「皇帝陛下でも聴かせようか迷う」

無礼な態度で接するヴォルフガングに怒るコロレド。

ヴォルフガングも、コロレドの自分への扱いに怒り爆発。

息子をたしなめるレオポルト。しかし「音楽じゃ僕は貴族と同等。あなたの僕(しもべ)じゃない」とヴォルフガングは譲らない。

大司教はヴォルフガングにクビを言い渡す。

しかしモーツァルト親子を追い出した後、部下のアルコ伯爵に楽譜を拾わせ、ヴォルフガングの譜面を読みその才能に驚く。

ヴォルフガング、コロレド大司教、レオポルト、アルコ伯爵、召使たち
MEMO
♪セレナード第6番 二長調(KV239)

私ほどお前を愛するものはいない

ザルツブルク/アーケード小路

父レオポルトは息子の身勝手さと、気の短さに怒る。

今まで私が積み上げてきたものを壊す気か?

ヴォルフガングは、ザルツブルクでは僕の才能は潰されてしまう。ここを離れて壮大なコンチェルトにオペラ、シンフォニーを書く!と訴える。

「私ほどお前を愛するものはいない」「お前には私が必要だ」心配を口にするレオポルト。

ヴォルフガング、レオポルト

まァ、モーツァルトの娘さん!

ザルツブルク/野菜市場

市場に訪れたナンネール。知り合いから、弟が大司教に逆らって追い出されたのか問われる。

追い出されたのではなくヴォルフガングから言い出したこと。
弟は母親とマンハイムで王様に気に入られている。
弟が呼んでくれるはずと希望を持つナンネール。

しかし現れたアルコ伯爵から「大司教が裏で手を回せばモーツァルトは全て終わる」と告げられる。

ナンネール、アルコ伯爵、市場の人たち、通行人たち
MEMO
2019年に新演出になりこのシーンが短くなりました。アルコ伯爵にやりこめられたのちナンネールが元気に歌うシーンが新演出ではカット。

マトモな家庭

1777年11月 マンハイム/ウェーバー家の居間兼台所

貧乏生活から抜け出したいウェーバー一家。

「歌えるくせにチャンス逃す」「なまけもの」・・・妻のセシリアは自分の娘たちに不満。

一家は、マンハイムを訪れていた作曲家モーツァルトに目を付ける。

ヴェーバー夫妻の娘で歌手のアロイズィアにヴォルフガングが惹かれたのをみて、2人を近づける。

ウェーバー一家「私たち家族の幸せを(モーツァルトに)託してみよう」

ヴォルフガング、セシリア、フリードリン、ヨゼファ、アロイズィア、コンスタンツェ、ゾフィ

心を鉄に閉じ込めて

ザルツブルク/タンツマイスターハウスの音楽堂

息子を旅に出してしまい、自分を責めるレオポルト。未熟者なヴォルフガングに不安はつきない。

運命は私に味方しなかった。お前は勝てる。私はお前に賭けよう。

強くなれ、ずる賢くなれ…感謝するんだ、自分の才能に。私の自慢の息子となるように

レオポルト
MEMO
韓国版のモーツァルト!(2020)では、レオポルトの側に幼いヴォルフガングが着ていた赤いコートがあり、レオポルトがそのコートに向かって語りかけます。参照:https://musical-tea.com/mozart-korea2020/

残酷な人生

1778年7月3日 パリ/コンサートホール~パリの宿

パリでの公演。しかし人が集まらず公演は失敗だった。

さらに一緒に来た母をパリで亡くしてしまう。

絶望の淵に立たされるヴォルフガング。ヴォルフガングの傍らでは、作曲を続けるアマデの姿がある。

ヴォルフガング
MEMO

モーツァルトのピアノソナタは明るく軽快な曲(長調)が多いのですが、1778年に突然、暗く影に追われているかのような短調の曲が作られます。その陰には、母の死があったと言われています。関連記事:母の死後、新たな境地へーピアノソナタ第8番イ短調K.310


韓国版(2020)では、ヴォルフガングが止めようとするもアマデは作曲を続けます。母の死という不幸ですら芸術に変えざる得ない、恐るべき才能の姿が印象的でした。


♪ピアノ・ソナタ ハ短調(KV457)

居酒屋

1780年ザルツブルク/居酒屋

パリから一文無しでザルツブルクに帰ってきたヴォルフガングをからかう市民たち。

ザルツブルクの市民たち

チョッピリ・オツムに、チョッピリ・ハートに

ザルツブルクに巡業中だった劇作家で俳優、劇場支配人のエマーヌエル・シカネーダーが現れ、ヴォルフガングと意気投合。芸術は大衆のために身近であるべきだというシカネーダーと、ヴォルフガングはまた会う約束をする。

シカネーダー、市民たち

星から降る金

ザルツブルク/大聖堂のパイプオルガンの前

ヴォルフガングは、ザルツブルクへ帰郷後父レオポルトのとりなしでザルツブルク宮廷楽団に再就職。オルガン奏者として復帰していた。

パイプオルガンの前で女性といちゃいちゃするヴォルフガング。

そこへ「ヴァルトシュテッテン男爵夫人がお話しがあるそうだ」とレオポルトがやってくる。

 

ヴォルフガングをウィーンへ連れて帰り世に出したい、とヴァルトシュテッテン男爵夫人。

しかし息子に何が必要か自分が一番わかっている、父親だから。と反対するレオポルト。

夫人はおとぎ話を話す。

 

息子を守るため城の塀を高く築き、「ここより他に良い国はない」と息子に言い聞かせた王様。

王様は息子を愛していた。

夜の森で憧れの精が王子にささやく「旅立て」と。

なりたいものになるため、望むように生きるなら

星からの金を求め一人旅に出るのよ。

愛とは解き放つこと

愛とは離れてあげること

自分の幸せのためでなく
涙こらえ つたえよう

ヴァルトシュテッテン男爵夫人
MEMO
♪オルガン・ソナタ(KV336)

私ほどお前を愛するものはいない(リプライズ)

息子のウィーン行きに反対するレオポルト。かつての旅行で金と信頼、そして母の命まで失ったとヴォルフガングを責める。

一方、アマデはヴォルフの手をひっぱり連れ出そうとする。

ヴォルフガングは叫ぶ「ザルツブルクなんて大嫌いだ」

レオポルト「私ほどお前を愛する者はいない。世渡りには子供すぎる。この私が必要だ。」

ナンネール「パパには経験がある。家族を守ってくれる。」

ヴォルフガング「時がきたら僕は行く。ここから出ていくぞ。」

レオポルト「家族の分裂、許しはしない」

ヴォルフガングは、ウィーンへと旅立つ。

ヴォルフガング、ナンネール、レオポルト

神が私に委ねたもの

ウィーンへ向かうコロレドの馬車

ウィーンへ向かう馬車でコロレド大司教とアルコ伯爵。

ヴォルフガングがザルツブルクから離れても監視を怠らない大司教。他の領主にモーツァルトをとられないか気にしている。

ウィーンの人々はザルツブルクの天才に熱狂するだろう。その熱狂は全て私(コロレド)のものだ。

コロレド大司教

全てがイカサマ/セシリアとヴォルフガング

ウィーン/プラター公演の見世物小屋

ヴォルフガングはシカネーダーとウィーンのプラター公園を訪れる。そこでマンハイムで出会ったウェーバー一家に再び会う。

全てがイカサマ:シカネーダー、観衆
セシリアとヴォルフガング:セシリア、シカネーダー、観衆

並みの男じゃない

大司教の館に泊っているというヴォルフガングに「うちにくれば?」と誘うウェーバー一家。

ヴォルフガングを尾行していたアルコ伯爵が出てきて、大司教様の館から出るのはまかりならんと禁じる。

しかしアルコ伯爵は美女の人体切りショーの箱に閉じ込められる。

ヴォルフガングはアルコ伯爵に向かって言う。

「コロレド様にも ケツむける」「僕は並みの男じゃない!」

ヴォルフガング、観衆

このままのあなた

ヴォルフガングとコンスタンツェ。近づく2人。

「このままの あんたが好きなのよ」

ヴォルフガングは、ありのままの自分を認めてくれたコンスタンツェに惹かれる。

コンスタンツェ

終わりのない音楽

ザルツブルク/タンツマイスターハウス

ザルツブルク。ヴォルフガングの帰郷を大司教に頼んできた、とナンネールに伝えるレオポルト。

ヴォルフガングは大司教の館から出てウェーバー家に住み、皇帝陛下の前で演奏する機会を自らふいにしていた。

「家族が揃えば、昔通り上手くいく」と信じるレオポルト。

 

一方、父親の抱く幻想は崩れ去っていることを知っているナンネール。
しかし愛する父親にそのまま伝えることはできない。

終わりのない音楽がこの世にあるかしら
大人にならない子供がいるかしら

 

かつて弟と同じように「神の子」と呼ばれ愛されたナンネール。

もし自分が男なら音楽を続けた。

しかし父のまなざしは息子に注がれている。

ナンネールは家でピアノを弾くだけ。自分に自由はないーーー

自らの人生や幸せを弟に託したナンネールの複雑な気持ち。

父レオポルトも言う。「息子に全てを託し、彼を通し生きよう」

ナンネール、レオポルト

僕はウィーンに残る

1781年4月 ウィーン/ドイツ館のコロレドの官邸

演奏会が中止になったヴォルフガング。コロレドのせいだとウィーンの大司教の館に乗り込む。

「ザルツブルクに帰れ!」大司教が命じるが「僕はウィーンに残る!」とヴォルフガングは応戦。

コロレド「お前はウィーンで野垂れ死ぬ。演奏させぬよう手を打った」

ヴォルフガング「僕は目指す 芸術家を 貴族や父に背を向けて」「誰の奴隷でもない 僕はウィーンに残る」
        

ヴォルフガングは、アルコ伯爵に尻を蹴られ追い出される。

「お前はおしまいだ」と言われるが「いや、始まりだ。ついに自由になった」と叫ぶヴォルフガング。

ヴォルフガング、コロレド大司教、アルコ伯爵、召使たち
MEMO
ヴォルフガングはコロレドと決裂し、ウィーンで史上初のフリーの音楽家になります。

影を逃れて

ウィーン/街路

自由になり喜ぶヴォルフガング。

しかしもう一人の自分「アマデ」が自分についてこない。

アマデが持つ小箱を取り上げるが、アマデがそれを許さず返す。

 
コロレド、レオポルトーー自分を庇護していたものから自由になるとはどういうことか。

「どうすれば自分の運命を拒めるのか」「もし自分の陰から逃げられるのなら」

 
(コーラス)
お前の影に 潜んだ悪魔
子供の姿で
お前の全て支配しようとする
お前は生きる その子の為に
生命捧げて

ヴォルフガングの腕にアマデがペンを突き刺し、ヴォルフの血で作曲を続ける。

ヴォルフガング、人びと

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