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2021年ミュージカル『マドモアゼル・モーツァルト』基本情報(あらすじ・登場人物・キャスト)

音楽座ミュージカル『マドモアゼル・モーツァルト』が2021年東宝製作で上演されています。『マドモアゼル・モーツァルト』の原作はモーツァルトを題材にした福山庸治氏の漫画。

きねちゃん

2021年10月
ミュージカル『マドモアゼル・モーツァルト』を観劇してきました。

ストーリーの転換にモーツァルトの三大オペラ(フィガロの結婚、ドン・ジョバンニ、魔笛)が巧みに使われているのが印象的でした。(原作漫画もモーツァルトのオペラになぞらえて作られています)
ミュージカル『マドモアゼル・モーツァルト』では精霊が登場しますが、彼らもモーツァルトの三大オペラの登場人物です。

ミュージカル『マドモアゼル・モーツァルト』とは

我が子の才能に驚いた父によって「男」にされた少女エリーザ。このエリーザこそが、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトだった、という史実にフィクションを取り混ぜた作品です。

「実は女だった」ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトを演じるのは明日海りおさん。楽曲にモーツァルトの作品を使用しているのはもとより小室哲哉氏が音楽を担当していることでも初演時は話題になりました。

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(原作漫画には昔『マドモアゼル・モーツァルト』の外伝もあったのですが、この外伝は販売されていないようです。)

モーツァルトを女性にしても違和感がないのは、実在したモーツァルトが性別を超えた天才だからでしょうか。息子(娘)を心配する父レオポルト、夫の言動に振り回されるコンスタンツェ、モーツァルトに嫉妬しつつ惹かれるサリエリと、ピーター・シェーファー脚本の映画にもなった「アマデウス」を彷彿させる内容です。

基本情報

原作/演出

原作:福山庸治『マドモアゼル・モーツァルト』
演出:小林香

音楽座ミュージカルオリジナルプロダクション
総指揮:相川レイ子
演出:ワームホールプロジェクト
脚本:横山由和、ワームホールプロジェクト
音楽:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト、小室哲哉、高田 浩
製作著作:ヒューマンデザイン

MEMO

『シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ』、『リトルプリンス』、そして『マドモアゼル・モーツァルト』と音楽座と東宝のタッグが続きます。

上演時間

約2時間45分
(休憩20分含む)

2021年公演期間・会場


公演期間 公演会場
2021年10月10日(日)~31日(日) 東京建物 Brillia ホール
最寄り駅:池袋駅東口(北)32番出口より徒歩4分
アクセス

『マドモアゼル・モーツァルト』あらすじ

東宝公式HPより抜粋

天賦の音楽の才能を持って生まれた少女エリーザは、女性が音楽家になれなかった時代ゆえに、父レオポルトから男の子“アマデウス・ヴォルフガング・モーツァルト”として育てられた。モーツァルトは瞬く間に時代の寵児として宮廷でもてはやされるようになる。宮廷作曲家であるサリエリはモーツァルトの音楽に否定的だったが、一方で目をそらせない存在でもあった。

モーツァルトが下宿しているウェーバー家の母親は、彼の成功にあやかろうと娘のコンスタンツェと彼を無理矢理結婚させる。だが、女であることを隠したままの結婚はうまく行くはずもなくすぐにバレてしまい、モーツァルトを愛していたコンスタンツェは大きなショックを受ける。悩みながらもモーツァルトに寄り添おうと決意するが、弟子のフランツと惹かれ合い、子供を授かってしまう。

一方モーツァルトは移り気な貴族たちに飽きられ、演奏会も閑古鳥が鳴く日々。ある日、父が亡くなったという知らせがモーツァルトの元に届く。父によって男とされたモーツァルトは、幼い頃から自分を縛ってきたモノから解放されて自由に生きようと、“エリーザ”としてドレスを着て演奏会へ参加することに。美しい女性“エリーザ”に出会ったサリエリは一目で虜となり、エリーザもまた、サリエリに惹かれていく。これまで感じたことのなかった高揚感に浮かれるモーツァルトだったが、偽りの夫婦であることに対するコンスタンツェの葛藤を知り、これまでの自分と音楽の存在を見つめ直し始める。

そんな中、大劇場支配人のシカネーダ―からオペラの作曲依頼を受け、新しい音楽を生み出そうとひたすら譜面に向き合う。何かに取り憑かれたかのように心身を削りながら作曲を続けるモーツァルトと、それを支え続けるコンスタンツェだったが―。 引用元:https://www.tohostage.com/mm/

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登場人物紹介&2021年キャスト

キャスト表


登場人物 キャスト
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト/エリーザ 明日海りお
サリエリ 平方元基
コンスタンツェ・モーツァルト 華優希
エマヌエル・シカネーダー 古屋敬多(Lead)
レオポルト・モーツァルト 戸井勝海
カテリーナ・カヴァリエリ 石田ニコル
フランツ・クサーヴァー・ジュスマイヤー 鈴木勝吾


大久保芽依、鍛治直人、加藤さや香、草場有輝、島田連矢、武田晶穂、徳垣友子、中嶋紗希、永松 樹、西尾真由子、練子隼人、松田未莉亜、吉田萌美、渡辺謙典

きねちゃん

主に原作漫画を元にした登場人物紹介です。

ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト/エリーザ:明日海りお

人物紹介
音楽家レオポルト・モーツァルトの次女で本名はエリーザ。4歳の時ワルツの即興演奏で我が子の才能を確信した父に男性として育てられ音楽家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトとして活躍する。無邪気な天才。ウィーン宮廷音楽家のサリエリを惑わせ、下宿先の娘コンスタンツェからは結婚を請われ彼女と結婚し2人の間には子供もいる。大好きな父親の望み通り「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト」として活動するが、父の死後「ヴォルフガングの持ち主はこの世にいなくなった」と、女性エリーザの姿に戻る。 

原作者は、ヴォルフガング(エリーザ)を、モーツァルトのオペラ『魔笛』に出てくるパパゲーナのアナロジー(類似)として描いています。『魔笛』では主要登場人物パパゲーノがお嫁さんを欲しいと願うも、醜い老婆と愛を誓わなければ永遠に試練を与えられ続けると言われ、渋々老婆と結婚の誓いをします。すると老婆が美しい娘に姿を変えるーこの美しい娘がパパゲーナです。

老婆から美女へ、男から女へと本来の自分に還る。オペラ『魔笛』でもパパゲーナが老婆から美女へ変身する場面は見所の1つとなりますが、ミュージカル『マドモアゼル・モーツァルト』でもサリエリの目を通したパパゲーナ(女性姿のエリーザ)を登場させることで、サリエリの心情を表しているかのようでした。

明日海りお(あすみ りお)

元宝塚歌劇団花組トップスター。宝塚退団後は、宝塚時代にも出演した『ポーの一族』で再び エドガー・ポーツネルを演じる。NHK『おちょやん』高峰ルリ子役など。

生年月日 1985年6月26日
出生地 静岡県
身長 169cm
血液型 B型

サリエリ:平方元基

人物紹介
原作漫画でサリエリは、窓から飛び降りたヴォルフガングを抱きとめた時から惹かれモーツァルトが女性ではないかと疑う。モーツァルトの性別を確かめるため自分の愛人(カテリーナ・カヴァリエリ)を使おうとし愛人から激怒されたり、同性愛者と誤解されたりする。自分を悩ませるモーツァルトが目障りになると同時に惹かれてやまない。ミュージカル版では、男性モーツァルトが気になりつつも、女性の姿をしたエリーザにサリエリが一目で虜になり、モーツァルトもサリエリに惹かれる。

アントニオ・サリエリがモデルですが、漫画『マドモアゼル・モーツァルト』では、映画にもなった戯曲『アマデウス』で描かれるサリエリの人物像に影響を受けていると思われます。つまりモーツァルトが気になりすぎて嫉妬するサリエリ、という立ち位置。

原作漫画でモーツァルトはサリエリのことを「お父さん」、舞台では「パパ」と呼びます。実際のモーツァルトもサリエリに楽譜を見せてもらいたいとき「愛するお父さん!」と呼びかけていたエピソードが残っており、彼のちゃっかりした一面が伺えるセリフですが、この作品でモーツァルトがサリエリをお父さんと呼ぶのは、もっと違う意味があるように感じます。

平方元基(ひらかた げんき)

数多くのミュージカル作品に出演。2021年は出演予定だった『IF/THEN』が全公演中止。5月~6月は『メリリー・ウィー・ロール・アロング』フランク役、8月~9月は、『王家の紋章』イズミル役で出演予定。

生年月日 1985年12月1日
出生地  福岡県
身長 184cm
血液型 AB型

コンスタンツェ・モーツァルト:華優希

人物紹介
モーツァルトの下宿先の大家ヴェーパー夫人の次女。ヴォルフガングが女性と知らず結婚し、のちに女性であると知りショックを受ける。人に言えず離婚もできず、そのうちモーツァルトの弟子フランツ・クサーヴァー・ジュスマイヤーと不倫を重ねるようになり彼との子供カールを産む。

モーツァルトの妻コンスタンツェがモデル。ミュージカルでは、モーツァルトの弟子フランツと惹かれあいながらも、モーツァルトを見捨てず同志のように寄り添う優しい女性として描かれているように見えます。

モーツァルトとコンスタンツェの四男はフランツ・クサーヴァー・ジュスマイヤーとの子供ではないかという説があります。四男の名前がジュスマイヤーと同じフランツ・クサーヴァーであること、出産時期から考えモーツァルト留守中の2ヶ月に妊娠した計算になること、ジュスマイヤーにモーツァルトのレクイエムを完成させるためコンスタンツェが嘘をついたとされるからです。尚、漫画ではフランツ・クサーヴァーJr.の他、モーツァルト夫妻次男のカールがコンスタンツェとジュスマイヤー2人の子供として描かれています。長男は生まれて2ヶ月で病死。

華優希(はな ゆうき)

元宝塚歌劇団花組トップ娘役。2021年7月4月に宝塚を退団し、その一週間後にコンスタンツェ役の発表。本作品でモーツァルト/エリーザを演じる明日海りおさんとは宝塚歌劇団在団中にトップコンビを組んでいた。

生年月日 11月13日
出生地  京都府
身長 162cm
血液型 A型

エマヌエル・シカネーダー:古屋敬多(Lead)

人物紹介
俳優、劇場支配人、台本作家、そしてモーツァルトの友。オペラ『魔笛』の台本を手掛け自らもパパゲーノ役で出演。モーツァルトが病に倒れたとき実は女性だったと知るが騒ぐことなくエリーザを女性として受け入れる。

シカネーダーは旅回りの一座を経て劇場興行師からウィーンの劇場支配人になった人物。巡業の最中ザルツブルクでモーツァルトに出会います。モーツァルトのオペラ『魔笛』の台本を手掛け、自らもパパゲーノ役で出演しました。

原作者がモーツァルト(エリーザ)をオペラ『魔笛』に出てくるパパゲーナのアナロジーとして描いている為か、原作漫画ではパパゲーノ役のシカネーダーとエリーザの印象的なシーンがあります。舞台では時代を前にすすめる熱い役割も兼ねています。

古屋敬多(ふるや けいた)

3人組ダンスボーカルユニット「Lead」のメンバー。舞台出演はミュージカル『プリシラ』アダム役、『イノサンmusicale』主演・シャルル=アンリ・サンソン 役など。

生年月日 1988年6月13日
出生地  福岡県
身長 173cm
血液型 A型

レオポルト・モーツァルト:戸井勝海

人物紹介
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの父親。娘エリーザが4歳の時、彼女の音楽の才能に気付く。当時女性は才能があっても音楽家として活躍できる時代ではなく、せいぜいクラヴィーア教師どまり。レオポルトは、エリーザを神が遣わした子と認識。神の意志に添うためエリーザを男にし、音楽家として育てることを決意する。

実際のレオポルトも彼自身音楽の才能があり、今なお評価の高い名著「ヴァイオリン基本教程試論」を出版。ひとかどの教育者でもありました。ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトにずば抜けた音楽の才能があったことは間違いないですが、ヴォルフガングの才能に気づき開花させたのは父レオポルトです。

原作漫画ではレオポルトの登場シーンは多くはないのですが、モーツァルトにとって大きな存在として描かれています。舞台も同じで登場回数は少ないですが、モーツァルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」に絡み、重要な見せ場を作っています。

戸井勝海(とい かつみ)

主に舞台俳優として活躍。『レ・ミゼラブル』グランデール役、マリウス役、『ロミオとジュリエット』パリス役、『タイタニック』、『アルジャーノンに花束を』、『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』など。

生年月日 1963年2月24日
出生地  広島県
身長 174.5cm
血液型 AB型

カテリーナ・カヴァリエリ:石田ニコル

人物紹介
ウィーンの人気のオペラ歌手で、サリエリの愛人。サリエリがモーツァルトに嫉妬していると思っていたが、そのうちサリエリがモーツァルトに心を奪われていることを知る。

カヴァリエリは実際にサリエリの声楽の弟子だった女性です。原作漫画のように2人は周りから愛人関係に見られていたようですが真偽は不明。映画『アマデウス』では、カテリーナに手を出すモーツァルトにサリエリが嫉妬する様子が描かれています。

カヴァリエリはモーツァルトのオペラに多く出演。モーツァルトがウィーンでの出世のため絶対に成功させる必要のあったドイツ語オペラ『後宮からの誘拐』で、カヴァリエリはヒロインのコンスタンツェを歌い、彼のオペラを大成功に導きました。

石田ニコル(いしだ ニコル)

「KOBEコレクション モデルオーディション2010」グランプリ受賞。「sweet(スウィート)」、「Gina(ジーナ)」、「HONEY(ハニー)」などのファッション誌で活躍。主なミュージカル出演作品『RENT』、『ACTORY GIRLS~私が描く物語~』、『フラッシュダンス』、『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』

生年月日 1990年5月29日
出生地  山口県
身長 168 cm
血液型 A型

フランツ・クサーヴァー・ジュスマイヤー:鈴木勝吾

人物紹介
モーツァルトの弟子でアシスタント。コンスタンツェと不倫の関係になり2人の間に息子のカールが生まれる。女であるモーツァルトと結婚生活を続ける中で、コンスタンツェが心の拠り所にした人物。

フランツ・クサーヴァー・ジュスマイヤーは、モーツァルトのレクイエムニ短調K.626とホルン協奏曲第1番ニ長調を補筆完成した人物として知られています。どちらの曲も未完でモーツァルトは亡くなりました。レクイエムは「モーツァルトらしくない」と多くの批判が出て、別の人も補筆を試みていますが、現代に至るまで最も多く演奏されているのはジュスマイヤー版です。

ジュスマイヤーは長い間モーツァルトの弟子とされていましたが、それは「夫がジュスマイヤーにレクイエムの完成を託した」とコンスタンツェが述べたからでした。実際には、最初に完成を依頼されたのは別の人物。その後、複数の人物が手掛け最後に依頼したのがジュスマイヤーです。なぜコンスタンツェは嘘をついたのか?なぜモーツァルトとコンスタンツェの四男の名前がジュスマイヤーと同じフランツ・クサーヴァーなのか?

さまざまな憶測を呼び、モーツァルトとコンスタンツェの四男の父親がジュスマイヤーだという説が生まれます。

鈴木勝吾(すずき しょうご)

『侍戦隊シンケンジャー』のシンケングリーン/ 谷千明 役で俳優デビュー。『ミュージカル『薄桜鬼』~風間千景篇~』で舞台初主演。舞台は他に『モマの火星探索記』、『PSY・S』、『絶唱サロメ』、『天守物語』、『ちょっと今から仕事やめてくる』、『憂国のモリアーティ』、『PHANTOM WORDS』、『東京喰種』、『ジョーカーゲーム』など。

生年月日 1989年2月4日
出生地  神奈川県
身長 172 cm
血液型 A型

ナンネール

人物紹介
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの姉でクラヴィーアを弾く。妹のエリーザが父に髪の毛を切られそうになった時はかばおうとするが、大人になったナンネールは「あの子の天才が周りを狂わしていく」と思っている。最初の犠牲者は父親で、自分自身が結婚できないのもヴォルフガングのせいと思っている。

史実ではヴォルフガングの姉ナンネールも音楽的才能があり優れたクラヴィーア奏者でした。父レオポルトはナンネールのために教則本、通称「ナンネルの楽譜帳」を作り、これがのちにヴォルフガングの音楽教育に使われます。姉と弟は貴族の前で演奏し2人とも神童と称えられますが、ナンネールは徐々に弟の影に隠れていきます。

『マドモアゼル・モーツァルト』でレオポルトが言うように、女性が活躍することが不可能だった時代。レオポルトはヴォルフガングに全てを注ぐと決め、結果的にナンネールは音楽から遠ざかります。結婚したい相手とは父の反対で出来ず、父のすすめで15歳年上の子持ちの男性と結婚したナンネール。女性が自分の意志で幸せになることが難しかった時代の姿がナンネールを通して見えてきます。

モーツァルトの三大オペラと『マドモアゼル・モーツァルト』(ネタバレあり)

『マドモアゼル・モーツァルト』は原作漫画でモーツァルトのオペラにになぞらえて作られているのですが、ミュージカルでも物語の展開にモーツァルトの三大オペラ『フィガロの結婚』、『ドン・ジョバンニ』、『魔笛』が巧みに使われていました。

この3つのオペラを知っていると、より深く楽しめると思うので簡単に紹介してみますね。

ネタバレ含みますので注意してください。

①フィガロの結婚

『フィガロの結婚』は、伯爵家で働くフィガロとスザンナの結婚をめぐる騒動を描いた喜劇。「初夜権」をめぐる伯爵との攻防が繰り広げられます。

初夜権とは、自分が治める領地の娘の初夜は新郎よりも一足先に領主(伯爵)が頂く権利のこと。オペラではいろいろ登場人物がいてややこしく話が展開していきます。

簡単に言うと、結婚初夜~結婚生活に関する男女のドタバタ劇です。

この流れのように、ミュージカル『マドモアゼル・モーツァルト』でも女性のモーツァルトとコンスタンツェの結婚騒動が繰り広げられます。

モーツァルトの演奏会でフィガロの結婚の序曲が演奏され、そのままモーツァルトとコンスタンツェの結婚式へと場面が転換。

その後、結婚初日~しばらくの間、【何度もモーツァルトをベッドに誘うコンスタンツェ】X【理由をつけて断るモーツァルト】・・・と2人の攻防線が行われます。

また『マドモアゼル・モーツァルト』では、オペラ『フィガロの結婚』から、妖精の一人「ケルビーノ」が登場するのですが、『マドモアゼル・モーツァルト』においてケルビーノはモーツァルトを重ね合わせた重要な存在のように思えます。

ケルビーノとは『フィガロの結婚』において恋に憧れる思春期の少年です。ケルビーノを主人公がからかうアリア「♪もう飛ぶまいぞ、この蝶々」が『マドモアゼル・モーツァルト』では流れます。

ケルビーノは、オペラの舞台では当時から女性が男装をしているズボン役でした。

少年なのに女性が演じるーーーまさに『マドモアゼル・モーツァルト』におけるモーツァルトのようです。

『マドモアゼル・モーツァルト』ではサリエリとモーツァルトの場面にケルビーノが登場します。そして、ケルビーノ(少年)を女性が演じていることをサリエリがモーツァルトに指摘する場面があり、これはサリエリがモーツァルトに疑念を持っているのでは?と推測できるシーンです。

そしてサリエリとモーツァルトの最後の2人の場面で「大切なのは、君がモーツァルトだということだ」とサリエリが言う。するとケルビーノが去っていく。

その才能を生かすべく男性の姿に扮したモーツァルトが解放されたような、印象的なシーンが心に残ります。

②ドン・ジョバンニ

手癖の悪いプレイボーイ、ドン・ジョヴァンニと彼を巡る人々を描いた作品。

ドン・ジョヴァンニは女性に手をだし裏切り、騒ぎになると女性の父親を殺したりします。しかしドン・ジョヴァンニは魅力的で、女性たちはなんだかんだと言いながら彼に惹かれます。

ドン・ジョヴァンニの最後は、地獄の業火に焼かれながらの地獄落ちでオペラでは有名な場面です。

ミュージカル『マドモアゼル・モーツァルト』では、ドン・ジョヴァンニの毒牙にかかりそうなツェルリーナと恋人のマゼットを、コンスタンツェとフランツに重ね合わせて描かれています。フランツは、夫との生活に悩むコンスタンツェが惹かれたモーツァルトの弟子。

そして『ドン・ジョヴァンニ』製作中に、神に逆らい嘘をついてきた自分は罰を受けると、我が身を振り返るモーツァルト、またモーツァルトを「男」として偽りの姿にしたレオポルトをドン・ジョヴァンニになぞらえ、レオポルトが業火に焼かれながら地獄落ちします。

③魔笛

『魔笛』は、光と闇の対立をテーマに描いたモーツァルトの最高傑作オペラ。物語はメルヘンチックで荒唐無稽ですが、モーツァルトやシカネーダー自身も会員だったフリーメイソンの教義が反映されています。

モーツァルトが貴族向けではなく大衆向けに作ったオペラであること(フィガロの結婚も貴族社会を風刺したものですが、フィガロは貴族向けのオペラでした)や、『魔笛』初演の2年前にフランス革命が起こり、時代が大きく動こうとしている時であったことなどから、ミュージカル『マドモアゼル・モーツァルト』でも、物語を大きく前進させる流れで、『魔笛』の台本を書いたシカネーダーを登場させています。

『マドモアゼル・モーツァルト』において重要な位置づけになっているのがパパゲーナです。

舞台では鳥の格好をした妖精の姿で登場し、特にモーツァルトがひとりの時に登場する事が多いようです。

女性でありながら男性を演じる『フィガロの結婚』のケルビーノとは違い、『魔笛』のパパゲーナは女性の姿です。しかしオペラ『魔笛』でパパゲーナは最初、老婆の姿で登場し、のちに本来の若い娘に戻ります。

このパパゲーナのキャラクターを使い、原作でもミュージカルでもパパゲーナは、「もともとの自分」を表す存在として描かれているようです。

ミュージカル『マドモアゼル・モーツァルト』の中の『魔笛』上演のシーンでは、老婆から美しい娘に変身するパパゲーナと、男性~女性~男性と姿を変えるモーツァルトと重ね合わせているようでした。

モーツァルト自身がどう感じているのか、パパゲーナの見つめるサリエリの心は…と観客がそれぞれ想像できる演出のように感じます。

精霊たち

『マドモアゼル・モーツァルト』に登場する精霊たちです。

『フィガロの結婚』より

フィガロ、ケルビーノ、伯爵夫人ロジーナ、アルマヴィーヴァ伯爵、スザンナ

『ドン・ジョヴァンニ』より

ドン・ジョヴァンニ、ツェルリーナ、マゼット、石像

『魔笛』より

ザラストロ、夜の女王、パパゲーナ、ダーメ、タミーノ、パミーナ

注目してみたいポイント(個人的メモ)

注意:この項は舞台観劇前に書いたものなので折りたたみます。

『マドモアゼル・モーツァルト』ナンバー

第一幕
プロローグ

モーツァルトのレクイエム
♪テーマ エリーザ/コンスタンツェ/精霊たち

モーツァルトの誕生
♪モーツァルト誕生 レオポルト/アンナ/ナンネル

噂の男
♪NaNaNa!ウィーンの人々
♪出会~-LOVE モーツァルト/サリエリ

結婚序曲
♪グッド・バイブレーション(1) モーツァルト/コンスタンツェの母/精霊たち
♪もしもあの人と コンスタンツェ

もう飛ぶまいぞ この蝶

あやしいアリア
♪私じゃダメかしら? コンスタンツェ/精霊たち
♪初めての恋 カテリーナ
♪グッド・バイブレーション(2) モーツァルト/コンスタンツェ/カテリーナ/コンスタンツェの母

結婚行進曲
♪結婚式 モーツァルト/コンスタンツェ/サリエリ/カテリーナ/レオポルト/ナンネル/コンスタンツェの母/アンサンブル

狂おしい夜
♪ひとつの嘘が モーツァルト
♪大人になって モーツァルト/コンスタンツェ
♪パパどうして モーツァルト

弟子フランツ

演奏会
♪子供ができた モーツァルト/精霊たち

ラバーズ・コンチェルト
♪ラバーズ モーツァルト/コンスタンツェ/フランツ

ドン・ジョヴァンニ
♪オペラが書ける モーツァルト/ダ・ポンテ

地獄

第二幕
私はエリーザ
♪私はエリーザ モーツァルト/精霊たち

サリエリ演奏会
♪心乱れて サリエリ/カテリーナ

あなたはわがまま
♪レシタティーヴォ モーツァルト/サリエリ/コンスタンツェ
♪旅 モーツァルト

ピアノソナタ

新しい依頼主
♪NEW WAVE シカネーダー/精霊たち

朝焼け
♪朝焼け モーツァルト/コンスタンツェ

魔笛
♪パパパ パパゲーノ/パパゲーナ

成功

最終楽章
♪もう二度と・・・ コンスタンツェ

雪の降る街
♪ラストテーマ 精霊たち

『マドモアゼル・モーツァルト』サントラ(1991年)

1. マドモアゼル・モーツァルトのテーマ
2. Feel The Musical Box
3. ある音楽家へのエピタフ
4. 永遠と名づけてデイドリーム
5. Love
6. Mozart In The House
7. Great Happenings
8. サリエリのテーマ
9. 1991

1991年12月26日に発売された小室哲哉さんのサントラより

他にモーツァルトの曲も使われているとのこと。


マドモアゼル・モーツァルト


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映画 アマデウス


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主要登場人物にサリエリがいて、カテリーナ・カヴァリエリ嬢も登場する。原作漫画では毒殺を匂わせる描写もある、となれば映画「アマデウス」を見るのもおすすめ。観劇前に予備知識入れたくない方は観劇後でも。

「アマデウス」でモーツァルトを毒殺したのはサリエリという描き方は批判も多く、私も否定的ですが、恐らく原作漫画に大きな影響を与えているはずなので、愛憎関係にフォーカスして見比べてみるのも面白いでしょう。

チケット

未定