『双頭の鷲』(L’aigle a Deux Tetes)は、『美女と野獣』『オルフェ』等、フランス劇作家ジャン・コクトーが、ハプスブルク家の皇妃エリザベート暗殺事件にインスパイアされて1946年に発表した戯曲で、自らの手により映画化した作品です。
※ミュージカル映画ではありません。
作品中にエリザベートは出てこないのですが、
- 孤独で厭世的。シシィスターの髪飾りを付けた女王(=エリザベート)
- 彼女を暗殺しようと企てる亡き国王そっくりの無政府主義者(=ルキーニ、フランツ・ヨーゼフ、トート)
- 女王失脚を願う姑の皇太后(=ゾフィー)
・・・エリザベートをご存じの方なら、みているうちにアレ?となるはず。
体操室や扇、乗馬などエリザベートを彷彿させる箇所もちらほらでてきます。(ただし、シシィが自己防衛のために使っていた扇は、映画では単なる「扇」として使用されているようです。)
日本では『双頭の鷲』というと、美輪明宏さんの舞台が有名ですね(演出、王妃役で出演)。
宝塚でも2016年宙組が『双頭の鷲』を上演しています。(暗殺者スタニスラス=専科の轟 悠さん、王妃=実咲凜音さん)
映画『双頭の鷲』動画配信サービス一覧
私も今回、記事を書くにあたり久々にこの作品を動画でみました。(昔は、図書館にあったビデオ(古!)でみていました。)
女王役のエドウィジュ・フィエールが素敵です。実際のエリザベートってこんな感じだったんじゃないかな?と思います。
生きる屍で幸福から自ら遠ざかっていた女王が次第に生き生きし、躍動感あふれ乗馬する姿が美しい。すらりとした長身に驚くほど細い腰。
自分を殺しに来た男と心を通わせ、敵に対する闘争心や女王としての矜持を思い起こしていく。心の移り変わりが見事に表現されています。
動画
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作品紹介
映画『双頭の鷲』のあらすじ
女王(エドウィジュ・フィエール)は、夫フレデリック国王を暗殺される。婚礼の朝、蜜月を過ごそうとクランツの城へ向かう途中のことだった。
以来10年、女王は政治を義母の皇太后に委ね、美しい顔をベールに包み喪に服している。ごく少数のものを身近に置くのみで素顔を見せることがなかったが、不思議と国民から慕われている。
そんな女王を疎ましく思っていた皇太后。皇太后一派の警視総監フェーン伯爵は、秘密出版物を用いて女王を非難中傷。女王の読書係エディットは皇太后に仕え、女王の行動を逐一見張っていた。
女王はクランツの城で舞踏会を開く。
しかし彼女自身は舞踏会に出席せず、愛する夫フレデリックを想い、亡くなったフレデリックに語りかけながら、一人部屋で過ごす。
そこへ突如姿を現した1人の男(ジャン・マレー)。
愛する夫フレデリックに瓜二つだった。
読書係のエディットが現れ「女王陛下暗殺をたくらむものが城に侵入した」とフェーン伯爵の言葉を伝える。その男は、女王陛下御存じの君主制反対者の一味だと。
男はアズラエル(死の天使※)というペンネームで女王を誹謗中傷する詩を書いていた。そして女王は彼の詩を高く評価していた。
男は、警視総監フェーン伯爵が女王暗殺に送り込んだ無政府主義者スタニスラスだった。
フレデリック王と生き写しだったスタニスラスをフェーンたちが利用したのだった。
女王は突然現れた男が何者なのか知る。
彼こそ死の天使。女王をフレデリックの許へ送ってくれる、いたわるべき死。
女王は怪我を負うスタニスラスを介護し彼を読書係に任命。そして暗殺の猶予に3日間与え、「私を生かすなら許さない」と伝える。
君主専政の封建制度を憎み女王を殺そうと城へやってきたスタニスラスだが、死を渇望する女王にとまどい殺すことができない。
殺意とは逆に、女王に別の感情を抱き始め、2人の孤独な魂は惹かれあう…
※アズラエルは、ユダヤ教、キリスト教およびイスラム教において死をつかさどる天使
映画出演キャスト
女王 | エドウィジュ・フィエール |
---|---|
スタニスラス(暗殺者) | ジャン・マレー |
エディット | シルヴィア・モンフォール |
警視総監フェーン伯爵 | ジャック・ヴァレンヌ |
フェリックス・ヴィレンシュタイン公爵 | ジャン・ドビュクール |
ジル・ケアン、Maurice Nasil、アブダラー、エドワード・スターリング
スタッフ、製作
監督 | ジャン・コクトー |
---|---|
脚本 | ジャン・コクトー |
美術 | クリスチャン・ベラール |
撮影 | クリスチャン・マトラ |
作曲 | ジョルジュ・オーリック |
セット | ジョルジュ・ヴァケヴィッチ |
双頭の鷲はハプスブルク家の紋章
双頭の鷲は、頭を2つもつ鷲の紋章。ヨーロッパの国や貴族の紋章として使われ、ハプスブルク家の紋章にもなっています。
ただこの作品では「双頭の鷲のように1頭が死ねばもう1頭も死ぬ」と出てくるように、2人の愛の深さも同時に表しているように感じます。
ミュージカル『エリザベート』もこの作品に影響を受けているかも?
1992年にウィーンのアン・デア・ウィーン劇場で初演を迎えたミュージカル『エリザベート』は、オーストリア皇妃エリザベートの生涯を綴った作品。
日本では最もチケットが取りにくいミュージカル作品の一つですよね。
冒頭、闇に閉じ込められた無政府主義思想の暗殺者ルキーニが、ハプスブルク家の亡霊とともにエリザベートの人生を語ることから物語が始まります。
作家のミヒャエル・クンツェ氏が、エリザベートが持っていた死への願望を擬人化した「トート(=死)」を産み出し、
ルキーニが語るエリザベートとトートの愛と死の物語。
もしかしたら、ミュージカル『エリザベート』は『双頭の鷲』から、多くの影響を受けたのではないか?と思っています。
『双頭の鷲』では、ルキーニにあたる暗殺者スタニスラスが、「私は闇から現れた」という。
そして夫の死後、厭世的に生きてきた女王が、自分の命を奪いに来た暗殺者のことを「死の天使」と呼び、暗殺者と伴に過ごすことで、次第に生気を取り戻していく。
ミュージカル『エリザベート』において、宮廷生活で自分を殺し生きてきたシシィが、トート(=死)が現れたことで逆に「生」を意識するように。
『双頭の鷲』の中で、暗殺者のペンネームに「死の天使」を意味するアズラエルという名を与え、さらに女王の口から「死の天使」と言わせたことは、ミュージカル『エリザベート』で死を擬人化したトートを産み出したきっかけの一つになったのかもしれません。
実際にエリザベートを暗殺したルキーニは、恵まれない幼少時代を送り、国家や権威を有害と考える無政府主義思想を持つようになります。スイスジュネーブに滞在中のフランス王位継承候補オルレアン公フィリップ公を狙うも既に去った後だったので、たまたまその地を訪れたエリザベートを殺しました。
王族とはいえ、国や権威にとらわれることを嫌ったエリザベートが、無政府主義者のルキーニに殺された事実にやるせなさを感じますが、『双頭の鷲』では、女王と暗殺者スタニスラス(ルキーニにあたる人物)はお互いの「孤独」を理解します。
『双頭の鷲』の迎える結末は悲しいものですが、しかし愛に昇華できたと感じられるラストで、この結末こそミュージカル『エリザベート』に大きな影響を与えているのかもしれないなぁなどと思いました。
東宝ミュージカル『エリザベート』基本情報(あらすじ・曲・登場人物など)まとめ