エリザベート歴代エルマー役(東宝・帝劇ミュージカル)&エルマー・バチャーニについて

ミュージカル『エリザベート』で登場するハンガリーの革命家エルマー・バチャーニ(またはバチャーニー)。

エルマーは出番は多くないですが見所が多く、演じる役者さんによって熱い革命家であったり冷静な人物であったりと印象が異なります。

  • 父親を殺された恨みをフランツ・ヨーゼフに抱き
  • 「ミルク」で民衆を扇動し
  • オーストリア=ハンガリー二重帝国発足では悔しさをにじませ
  • 皇太子ルドルフと深くかかわってゆく

等、オーストリア帝国支配下におかれたハンガリー貴族の目線から、ハプスブルク家とその滅亡を伝えてくれるエルマー。

しかしウィーンオリジナル版『エリザベート』には存在しない役柄で、日本で上演するにあたり、ほかの革命家(シュテファン、ジュラ)と伴に追加されました。

東宝版歴代エルマー・バチャーニ

年表(年齢つき)

敬称略

読み方

  • 初、②→初:エルマー役初、②:エルマー役2回め、以降同じ
  • 出演時の年齢
  • エルマー役初出演は太文字



エルマー役
2000年 今拓哉(初・31歳)
2001年 今拓哉(②・32歳)
2004年 今拓哉(③・35~36歳)
藤本隆宏(初・33~34歳)
2005年 藤本隆宏(②・35歳)
2006年 縄田晋(初※)
2008年~
2009年
中山昇(初・38~39歳)
2010年 岸祐二(初・39~40歳)
2012年 岸祐二(②・41~42歳)
2015年 角川裕明(初・40歳)
2016年 角川裕明(②・41~42歳)
2019年 植原卓也(初・30~31歳)
2020年 植原卓也(②・31~32歳)


※ 縄田さんは年齢を非公開にしているかもしれないので、記載を見合わせます。

『エリザベート』でエルマー役以外の経験者

  • 藤本 隆宏さん→2000年、2001年でシュテファン役
  • 縄田 晋さん→2000年、2001年公演でトートダンサー、2004年、2005年公演でシュテファン役
  • 中山 昇さん→2010年、2012年公演でラウシャー大司教役

今 拓哉(こん たくや)

生年月日 1968年11月12日
出生地 千葉
身長 180cm
血液型 O型

MEMO

1988年劇団四季に入所。『ハムレット 』フォーティンブラス役、『キャッツ』マンカストラップ役など。1997年に退団。退団後『レ・ミゼラブル』のアンサンブルを経てアンジョルラス、ジャベールとプリンシパルへ。東宝ミュージカルを中心に活躍。2019年は『細雪』、『怪人と探偵』、『天使にラブ・ソングを~シアター・アクト~』に出演。
エルマー役で出演した年

2000年、2001年、2004年

出演時の年齢

31~36歳

藤本 隆宏(ふじもと たかひろ) 

生年月日 1970年7月21日
出生地 福岡
身長 183cm
血液型 A型

MEMO

元競泳選手で日本記録を樹立。劇団四季に入所して俳優の道へ。ミュージカル『エリザベート』では、2000年、2001年公演でエルマーと伴に闘うシュテファン役でも出演。舞台での活躍も多いが、大河ドラマ(『平清盛』、『真田丸』、『西郷どん』)、連続テレビ小説など多くの映像作品でも活躍している。
エルマー役で出演した年

2004年、2005年

出演時の年齢

33~35際

縄田 晋(なわた すすむ)

生年月日 1月13日※
出生地 山口
身長 181cm
血液型 A型

MEMO

劇団四季、音楽座、ステップスを経てフリーへ。ミュージカル『エリザベート』では、2000年、2001年公演でトートダンサー、2004年、2005年公演でエルマーと伴に闘うシュテファン役でも出演。『モーツァルト!』、『蜘蛛女のキス』、『アンナ・カレーニナ』、『ハンター×ハンター』、『少女コゼット』、『若草物語』、『赤毛のアン』など出演。
エルマー役で出演した年

2006年

出演時の年齢

※ 縄田さんの生年月日は分かるのですが、年齢を非公開にされているのかもしれないので、記載を控えます。

中山 昇(なかやま のぼる)

生年月日 1969年8月27日
出生地 福岡
身長 178cm
血液型 O型

MEMO

演劇倶楽部『座』創立メンバー。ミュージカルの舞台で多く活躍している。『貴婦人の訪問』、『レディ・ベス』、『ロミオ&ジュリエット』、『ルドルフ ~ザ・ラスト・キス~』、『ルドルフ ~ザ・ラスト・キス~』モーツァルトなど『エリザベート』は2010年、2012年に大司教役でも出演。
エルマー役で出演した年

2008年~2009年

出演時の年齢

38~39歳

岸 祐二(きし ゆうじ)

生年月日 1970年9月28日
出生地 東京
身長 182cm
血液型 O型

MEMO

テレビ朝日「スーパー戦隊シリーズ」『激走戦隊カーレンジャー』で主役の陣内恭介 / レッドレーサー役で知名度を上げる。その後、舞台、映像、声優などで幅広く活躍。ミュージカル『レ・ミゼラブル』、『ミス・サイゴン』、『ルドルフ ~ザ・ラスト・キス~』、『三銃士』、『ロミオ&ジュリエット』、『ペテン師と詐欺師』など多数出演。
エルマー役で出演した年

2010年、2012年

出演時の年齢

39~42歳

角川 裕明(かくかわ ひろあき)

生年月日 1974年10月11日
出生地 埼玉
身長 178cm

MEMO

大学卒業後、広告会社勤務を経て俳優に転身。ミュージカル、芝居、ライブに数多く出演するほか、映画監督してミュージカル短編映画製作にも取り組んでいる。

主な出演作は、『エリザベート』、『CHESSTHE MUSICAL』、『レ・ミゼラブル』、『ファントム』など。

エルマー役で出演した年

2015年、2016年

出演時の年齢

40~42歳

植原卓也(うえはら たくや)2020年出演

生年月日 1988年6月22日
出生地 大阪府
身長 177 cm
血液型 A型
愛称 たっくん

MEMO

ダンスユニット・HEADSのメンバーとしてデビュー。多くの舞台に出演し、ミュージカルでは『黒執事』、『IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ』、『THE CIRCUS!』、『スカーレット・ピンパーネル』、『スカーレット・ピンパーネル』、『ダンス・オブ・ヴァンパイア』など。
エルマー役で出演した年

2019年、2020年(予定)

出演時の年齢

30~32歳

エルマー・バチャーニについて

オリジナルのウィーン版には登場しない革命家

エルマー・バチャーニは、シュテファン、ジュラと伴にハンガリーの独立を目指す革命家としてミュージカル『エリザベート』に登場します。

しかしこの3名はもともとウィーン版には登場しないキャラクターでした。

最初に上演されたウィーンでは、現地のお客さんにとって、ハンガリーとオーストリアの歴史は当たり前すぎるので、革命家も独立運動シーンも必要なかったからです。

ただ、日本(最初は宝塚)でエリザベートを上演するにあたり、革命家や独立運動のシーンがないと、オーストリアとハンガリーの関係が日本のお客さんにはわかりづらいだろう、と言う事で追加されたのでした。

エルマーの父はハンガリー王国最初の首相

エルマーの父バチャーニ・ラヨシュは、ハンガリーに代々続く古い家柄の貴族で政治家。ハンガリー王国最初の首相となった人でした。

バチャーニ・ラヨシュには、2人の娘と1人の息子がいました。息子の名前がElemér(エルメール)。英語読みすると、エルマーとなります。

エルマーが「エルマー・バチャーニ」で父が「バチャーニ・ラヨシュ」だと、姓と名がわかりづらいですが、ハンガリーは日本と同じく姓→名の順番なので、エルマーもハンガリー読みだと「バチャーニ・エルマー」になります。

フランツ・ヨーゼフの名のもと処刑された父

ハンガリーは、17世紀までオスマントルコ帝国の支配を受けたのち、1699年にオーストリア領となり支配下におかれます。

以降ハンガリーでは、オーストリア支配を受け入れ協力していた地主階級もいましたが、オーストリアに対し憎しみをつのらせ、独立を求める運動もありました。

1848年。フランスで起きた2月革命は、ヨーロッパ各地に飛び火します。

ウィーンでも3月13日に市民・学生が蜂起して3月革命が起こりました。このウィーン革命では、当時オーストリアの宰相だったメッテルニヒが失脚します。

ウィーンで革命が起こった事はオーストリア帝国支配へも影響し、統治下にあったイタリア、ブタペスト、プラハなどでも暴動が起きました。

3月15日に起こったハンガリー革命では、ハンガリー軍がオーストリア軍を撃退。はじめてハンガリー政府が樹立され、エルマーの父、バチャーニ・ラヨシュは初のハンガリー首相に就任しました。

オーストリアにとってこの危機的な状況の中、当時のオーストリア皇帝だったフェルディナント1世は退位を余儀なくされ、次にオーストリア皇帝となったのがフランツ・ヨーゼフです。エリザベートの夫となる人ですね。

一度は成立したハンガリー政府でしたが、18歳3ヶ月でオーストリア皇帝となったフランツ・ヨーゼフは、ハンガリー政府を承認しませんでした。

1849年、オーストリア軍はロシア帝国軍の援助を得て制圧。そしてフランツ・ヨーゼフの名のもと、エルマーの父バチャーニ・ラヨシュ初め、合計114名のマジャール人の要人を粛正します。

穏健な改革派であったというバチャーニ・ラヨシュは、最期に「祖国よ、永遠なれ!」という言葉を残したそうです。

エルマーにとって、フランツ・ヨーゼフは親の仇に当たるわけですね。

きねちゃん

ちなみにミュージカル『エリザベート』の「♪皇帝の義務」で、シュヴァルツェンベルク侯爵が「わーが国はロシアにつくべきです。ロシアは革命を抑えてくれた」と歌うシーンがありますが、1849年にハンガリーを鎮圧した時のことを言っているかと思われます。

ハンガリーの恨みが、シシィとフランツの結婚、そしてハプスブルク王朝の崩壊を招いた?

エルマーの話から反れますが、フランツ・ヨーゼフの徹底なまでの血の粛清は、ハンガリー人の禍根を残し、4年後、フランツ・ヨーゼフは恨みを抱いたハンガリー人に襲われます。

フランツ・ヨーゼフが襲われた日が、なんと、シシィの姉ヘレネとのお見合いの日でした。

ミュージカル『エリザベート』で、お見合いはバート・イシュルで行われますが、実はその半年前、ウィーンの舞踏会でお見合いするはずだったのです。

しかしハンガリー人に襲われ、フランツ・ヨーゼフは頭蓋骨損傷+失明寸前となり、お見合いは中止。

その仕切り直しとなったのが、バート・イシュルでのお見合いで、フランツ・ヨーゼフがお見合い相手のヘレネではなくシシィを選んだのは周知の事実。

もし予定通りウィーンの舞踏会でヘレネとフランツがお見合いをしていたら?

この時シシィはまだ幼く不参加だった事を考えると、きっと、オーストリア皇后はシシィの姉ヘレネであったはずです。。。

そう考えると、

フランツ・ヨーゼフのハンガリー人に対する無慈悲な粛清→ハンガリー人の襲撃を受ける→お見合いが延期されフランツ・ヨーゼフはヘレネではなくシシィと結婚する→ハンガリー好きのシシィの助言もあり、オーストリア=ハンガリー二重帝国が誕生→ハプスブルク帝国崩壊の原因となる….

という解釈も出来たりします。

実在したエルマーはどう生きたのか?

エルマーは、ハンガリー革命の前年1847年に生まれます。

ミュージカル『エリザベート』でのエルマーのセリフにもあるように、「父(バチャーニ・ラヨシュ)が皇帝フランツ・ヨーゼフに処刑された」のは、史実通りです。

しかしエルマー自身については、政治家で世界中を狩猟旅行し、ハンガリー馬術協会の委員会メンバーだった等の記述は存在するのですが、ハンガリー革命家であったという情報は見当たらず、エルマー自身が革命に身を投じたかは不明です。

そのためミュージカル『エリザベート』のエルマーは、この作品のために描かれたキャラクターともいえます。

オーストリア軍に処刑された父を持つエルマーは、作品をよりわかりやすく伝えるための、これ以上ない適任だったのかもしれないですね。

なお、舞台では独立運動のシーンで捕らえられて姿を消すエルマーですが、実際の彼は1932年まで生きます。

フランツ・ヨーゼフの死、そしてハプスブルク帝国の崩壊まで見届けたことになりますが、どのような想いだったのでしょうか。

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